小堀球美子の相続コラム

使い込み訴訟、原告と被告と

使い込み訴訟に関しては、原告代理人になることもあれば、被告代理人になることもあります。

原告代理人をしていると、気がつくのは、当事者と代理人、裁判所の温度差。最初は、使途不明と思われる引き出しを全て請求に入れて訴訟を起こすのですが、被告から使途の説明があり、裁判所から、この程度は引くのが合理的と言われて、訴訟の進行が請求額をマイナスしていく経過をたどるのが通常です。当事者は一番被相続人を知っていますので、普通なら被相続人はそのような使い方をしないと思っている。代理人は、当事者の意思に沿いながらも、裁判所の「合理的」と仰る思考過程も分かるので、その辺のバランスを取りながら、進める。裁判所は、一定額の生活費(多めです)、その他、諸々で減額していく。どこに着地点が置かれるかは、判決と和解でも異なりますが、原告としてはどれだけ我慢ができるかの過程なのでしょう。

被告代理人をしていると、逆に、原告は取引履歴で逐一引き出しを捕捉できるけど、被告にはそれぞれの使途に証拠の裏付けのあることが少なく、実際、被相続人の介護をして、感謝されていたのに、一定額の贈与のようなものも認められていいでしょう、とマイナスしていく過程がまどろっしく思えることがしばしばです。

真実は一つだと刑事裁判の世界では言えるけれど、こと、民事では事実は実は何面性も持つということだと思います。

大事なのは、信じて自分のスタンスを貫くことです。

2019-02-06|タグ:

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