小堀球美子の相続コラム

相続コラム~となりの遺産分割特別受益編「8特別受益と遺言(相続させる)」

たとえば、遺言に、甲不動産をAに相続させる、そのほかの遺産については遺産分割するとか書いてあったり、そのほかの遺産については言及がなかったりしたときです。

相続人は、ABの2人兄弟。亡父に甲不動産と、乙不動産、丙不動産、預貯金があった次の事例を見てみましょう。

【亡父の遺産】
甲不動産 1000万円
乙不動産 500万円
丙不動産 500万円
預貯金  1000万円
ABで、甲不動産以外の遺産を遺産分割するとき、Aは1000万円の特別受益があったとして、持ち戻しを行うべきでしょうか。

民法903条には、生計の資本等で贈与を受けた法定相続人は、その分も遺産に足して(みなし相続財産)、それを相続分で割り(一応の相続分)、贈与を受けた者は、一応の相続分から特別受益の額を控除してその者の相続分とするべきと規定されています。特別受益の持ち戻しと言われる規定です。

裁判例としてはいろいろあるのですが、裁判所では、これらは、特別受益として扱うという取り扱いがされています。

上の例で、1000万円+500万円+500万円+1000万円=3000万円がみなし相続財産で、これをABの二人で割ると、1500万円、Aは1500万円-1000万円=500万円の限度で相続できると言う計算をします。

この話、私は初めて聞いたとき、被相続人の意思としてはホントかなと思いました。被相続人が遺言を残すのは、「えこひいき」が動機なのがほとんどですから、Aに多くあげたいのではないかと思ったのです。

裁判所は、上の計算式の方が公平とみるようですが、ちょっと不思議に思いました。

2020-06-26|タグ:

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