小堀球美子の相続コラム

遺産分割調停と訴訟について

相続の争いは、親族間の争いなので、まず、話し合いで決着するのが建前です。それで、家庭裁判所も、調停を起こす前に、当事者間でよく話し合いましたか、と聞いてきます。ところが、遺産分割調停が始まっても、裁判所から、ここは訴訟で決着してください、と言われることがあります。これはどういう場合でしょうか。
遺産分割調停では、その申立書ひな形には?相続人の範囲に争いがある?遺産の範囲?分割方法が決まらない、と選ぶ欄があります。いずれの争いも調停という話し合いで解決するのが前提です。
このとき、前妻の子が後妻との婚姻を争い、後妻の配偶者としての地位を争ったらどうでしょう。また、ある土地が故人の遺産でなく相続人一人のものと争ったとき、こうした場合、遺産分けの前提問題に争いがありますから、そこで双方主張を譲らなければ、証拠で決着するしかありません。こうしたとき、調停はいったん取下げて、民事裁判手続きにゆだねられます。
ほかにも、相続開始前後に預金の引き出し行為があって、相続人の一人が利得してしまったのに、返さないと争ったとき、この争いが決着しない間は、話し合いが進まなければ、この点を証拠があるか民事訴訟で審理してもらい、その結果を待って、調停は再度行うという扱いがされます。
(最初から話し合い困難と見て、いきなり訴訟ということもあります。)
調停は話し合いですから、それになじまない場合に、証拠があるかの審理を民事裁判で行うと説明すると分ると思います。
それから、遺産分割調停は今あるものを分ける手続きなので、遺言相続が済んだときなど、遺留分減殺請求をするには、遺産分割調停ではできません。別途、遺留分減殺の調停を行えますが、多くの場合、話し合いは困難で、遺留分減殺請求訴訟を起こすことになります。
いったん出来た遺産分割調停(協議)の無効を争うとき。このときも、通常話し合いでは困難ですので、遺産分割協議無効確認請求訴訟が行われることがあります。
(一方、特別受益や寄与分の確定につき、話し合いがつかないときには、これは、訴訟と同じく証拠で審理される審判事項とされています。)
こうして、相続争いといっても、解決方法は様々で、我々弁護士は、その争いに合った解決方法の選択を求められます。

2009-11-19|タグ:

年別に記事を探す

カテゴリー別に記事を探す