小堀球美子の相続コラム

遺言無効と遺留分減殺請求

亡くなった母に公正証書遺言があった!亡くなってから、兄にすべてを相続させると書かれていることが分かった。
だが、その遺言作成日時には、母は認知症の治療を受けていたはず。母の真意ではない!
・・・というようなご相談を受けることがよくあります。
手順としては、遺言の意思能力に疑義があれば、?遺言無効確認の訴えを起こし、その効力を否定したのちに、改めて遺産分割協議を行う、?遺言無効で負ければ、遺留分減殺請求をする。という段取りになります。
ただ、相続問題に多く携わる弁護士の立場としては、?は(公正証書遺言であれば99%に近い確率で)邪道ということができます。
公正証書の遺言無効で、無効とした裁判例は、判例検索ソフトをたどれば、確かにあります。
しかし、それは、特異な事情があったか(入院中作成したが、入院中大便いじりをしていたというカルテが残っていて、長谷川式テストで1ケタ台だったなど)、公証実務を知らない特異な裁判官によったか、である場合がほとんどです。
思えば、老人が遺言を書く場合に、自発的に書くというケースはまれで、ほとんどが、娘息子の勧めがあって書いています。これをすべて遺言無効としていては、有効な遺言などありえないという現実。
公証人と話していると、認知症の疑いのある老人には、診断書を持ってきてもらうなど、きちんと確認しているという公証実務。
本当に実務的には、遺言無効は「勝てない訴訟」なのです。
むしろ、遺留分減殺請求に重点を置き、遺言で遺すとされた相続人に預金の使い込みがあったら、それも遺留分減殺の対象とする、不動産の評価を争う、などに注力したほうが、時間的労力的経済的に(加えて精神的に)ローコストかつ、実益があります。
私は、遺言を無効にしたいとおっしゃるご相談者には、この点をよく説明し、無駄な時間とお金を使わないで実利を得ようと、説得しています。

2014-04-09|タグ:

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