小堀球美子の相続コラム

要扶養状態 の老母に毎月 扶養料 を払っていました、相続開始して弟にその分を請求できますか。

請求できます。
方法は二通りです。
1つは、過去の扶養料を求める審判を求め、審判で決められた額を払ってもらうこと。
1つは、母に遺産があって遺産分割協議をするとき(財産のある母に扶養というのはおかしいとも見られますが、財産が不動産だけなど現金がないときにはありえます)、扶養料を払っていたおかげで、母の財産の維持につながったとして寄与分の計算を求めていくこと。
後者は、通常の扶養義務の範囲内なら、特別の寄与とは言えないというのが理屈で、そうすると、正解は、過去の扶養料の審判を求めることかとも思えます。実際、大阪高裁でH15/5/22になされた決定の事案は、遺産分割審判では寄与分を認めなかったものの、後に申し立てられた過去の扶養料の審判でこれを認めた事案で、高裁は、寄与分としては厳密には財産の維持につながったとは言えないが、過去の扶養料の審判として考えるに、遺産分割と違って扶養義務者の資力等の事実も調べることができるので、それが肯定されるとしました。
つまり、寄与分を厳密にとらえると、Aが毎月母に5万円を払っていた、しかし、それは扶養義務の範囲内で母の財産維持につながったと言えない。特別の寄与とは、絶対的なもので、ほかのきょうだいに比べてという相対的なものではないからです。
しかし、扶養義務としてとらえると、相対的に、ほかのきょうだいBの資力なども考慮すると、Bも負担するべきだったから、AからBへの扶養料の求償が肯定できる、というのです。
難しい議論ですが、高齢化社会にあって、ますます老親への介護をどう考慮するかが問題になると思います。

2014-10-09|タグ:

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