小堀球美子の相続コラム

葬祭業者 に 葬儀費用 を支払いました。 遺産である預金 を 差し押さえ られますか。

葬祭業者と契約した喪主について、葬祭業者は、支払いがないとき喪主の全財産を差し押さえることができます。
これを一般の先取特権といい、葬儀費用のように時間的余裕がないところで契約されるものについて、公益上の要請から、担保権を与えたものです。
では、法定相続人A(喪主)が他の法定相続人BCに代わって、葬祭業者と契約し、葬儀費用を支払ったので、BCが相続する遺産である預金を先取特権で差し押さえることができるでしょうか。
条文では(民法306条)、葬式の費用に関して債権を持つ債権者は、債務者の総財産に先取特権を有する、とされています。
では、Aが債権者、BCが債務者と言えるでしょうか。
葬儀費用の負担者については、学説は様々で、裁判例も確定はしていません。しかし、家裁の実務では、みんなで負担する合意が出来ていればそれに従うが、葬儀費用は相続開始後の支出なので、当然に遺産から払われるのでなく、喪主が負担するという運用がなされているのが実際です。
特に、Aが葬祭の規模、内容をBCに相談なく決めたというようなときには、なおさら、葬祭費用はAが負担すると考えるべきでしょう。
そうすると、そもそもAはBCに葬儀費用立替分を請求できず、A債権者、BC債務者とも言えませんから、BCの財産である遺産である預金を差し押さえることはできません。
この点、抗告審(高裁)まで争われた、債権差押命令申立事件がありましたが、喪主の立場で葬儀費用を葬祭業者に支払った者は、民法306条の先取特権を有しないという判断がなされました(東京高裁H21.10.20)。

2014-08-28|タグ:

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