相続について 任意後見制度
子世代の将来の相続紛争の予防にもなります。
任意後見制度とは
2000年に改正された成年後見制度―従来の禁治産者、準禁治産者など、取引の安全に主眼を置いた行為無能力制度(一定の場合に取引を取り消せる制度)を改め、判断能力の不十分な者を保護することを主眼として、一定の場合に本人の行為能力を制限するとともに本人のために法律行為をおこない、または、本人による法律行為を助ける者を選任する制度―。
その一環として、裁判所の審判による「法定後見」だけでなく、本人が判断能力の十分なうちに自分の信頼する候補者とあらかじめ契約しておいて、将来意思能力の低下がみられたときに、後見が開始する制度~「任意後見制度」が創設されました。
事理弁識能力が劣っていない状況のうちに公正証書で行う契約で、将来後見監督人が選任されることを条件として成年後見人業務を委任する契約により行われます。
任意後見制度のツボ
お年寄りにとって
- 元気なうち:財産管理契約(通常の委任契約) 遺言作成依頼
- 能力劣ったら:任意後見契約
- 死亡後は:遺言執行者
終末時の自己決定権を確保し、自分の信頼できる人に、ワンストップで老後から死亡後までの自分の意思をゆだねることができます。
「「頭はしっかりしているけど、不動産管理などはおっくう。」
弁護士と財産管理契約(通常の委任契約)。遺族のために遺言書作成を依頼。
最近物忘れがひどく、財産のことなどわからなくなってきた。
弁護士と任意後見契約。必要な段階で、任意後見開始。
亡くなった
頼んでおいた弁護士が遺言執行。
家族にとって
- 親の終末期の財産管理に透明性を持たせる。
- 最近認知症の進んだ母の預金を兄貴が勝手に使っている 。
- 母が頼んでいた弁護士さんに任意後見の開始を相談してみよう!
お母さんの財産を私が透明性をもって管理します!
弁護士との委任契約弁護士との委任契約
- 財産管理契約(通常の委任契約)
- 任意後見契約
- 遺言書作成契約
- 遺言執行者選任
1~4を組み合わせて利用できます。
費用
契約書作成(1, 2) | 報酬月額(1, 2) | 遺言書作成(3) | 報酬(4) |
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10万5000円 | 3万円~5万円 | 10万5000円 | 遺産が3000万円以下の部分が2パーセント 3000万円を超え3億円以下の部分が1パーセント 3億円を超える部分が0.5パーセント |
ご相談事例
息子のBさんから相談。母Aが老後の面倒を見るBさんに、弟のCさんより多く遺産をあげたいと言っている。Cには母Aの財産管理で文句を言われたくない。
遺言作成(Bに多く残す、遺言執行者の指定あり)、任意後見契約をAさんと結ぶ。
私には子がない。世話になった人に広く遺産を遺したい。遺産管理をしっかりしたく、月一回私の財産を確認してほしい。
遺言作成(遺贈する相手を細かく指定、遺言執行者の指定あり)、財産管理契約(通常の委任契約)、任意後見契約を結ぶ。月一回の巡回。
息子FGが私の死んだあとの相続の話でもめている。生きているのにそんな話を聞きたくない。
遺言作成(FGに平等に遺す、遺言執行者の指定あり)、任意後見契約を結んで、なるべくEさんの生きている間に財産を使ってしまうよう指定。
Hさん夫婦は子供がない。夫の遺産は妻に相続してもらっていいが、妻亡きあとは夫の実弟に受け継がせたい。妻には精神上の持病があり、夫亡き後の財産管理が心配。
夫婦で遺言作成(夫の遺言~妻に相続させる。妻の遺言~相続した夫の財産を自己の財産と区別して管理し利用。妻が死亡した時には夫の実弟に遺贈する。遺言執行者の指定あり)、妻に任意後見契約締結。夫から相続した財産を区別して管理。