相続税 相続税・贈与税の
基礎知識
相続税とは
相続税とは、遺産分割の対象となる権利、生命保険などのみなし相続財産、相続開始前3年以内の贈与などで、利益を受けた人に科される税金です。被相続人の死亡後10ヶ月以内に申告し、納税しないといけません。
基礎控除額について
相続税には、基礎控除額があります。「5,000万円+法定相続人数×1,000万円」の計算式で算出された金額内では、相続税はかかりません。
たとえば、父の相続で、母と子2人があるとき、5,000万円+3人×1,000万円=8,000万円より遺産の額が低ければ相続税の申告義務はありません。
5,000万円+法定相続人数×1,000万円=基礎控除額
特例利用(小規模宅地の特例)
故人と生計を同じくし、そのまま居住するようなとき、240平方メートルまでは土地の評価を80パーセント減額して計算することができます。
240m2までの土地の評価額×0.2=相続対象評価額
たとえば、上記の例でたとえると、父の遺した自宅の時価が5,000万円であり、預金も5,000万円あると、合計1億円となり相続税の申告が必要になりますが、それが小規模宅地なら、5,000万円×0.2=1,000万円が相続税計算の対象となる自宅の評価になります。すると、1,000万円+5,000万円=6,000万円となるので、相続税の申告義務はなくなります。ただし、特例利用の書類を提出する必要があります。
相続税率
相続税は、課税される遺産が多いほど税率が高くなります。(10%~50%まで)
以下の表に基づいて計算します。
法定相続分に応じる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
3億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円超 | 50% | 4,700万円 |
法相続税の計算手順
1. 各人の課税価格の算出
5,000万円+法定相続人数×1,000万円=基礎控除額
遺言により自分に遺産が遺されなかった場合
被相続人が債務(借金など)を残しているなどで相続したくない場合、相続人は自分の意思により 相続を放棄 することができます。 ただし、相続開始を知った日から3ヶ月以内に相続放棄(もしくは限定承認)の申述をしないと単純承認したとみなさます。(家庭裁判所に申し出て、この期間を伸ばすこともできます。)
※ ここで、小規模宅地の特例の計算ができます。
※ ここで、葬儀費用や故人の所得税などを引きます。
※ みなし相続財産とは、法律上は相続財産ではないけれども、税務上相続財産と見なされて税金を課されるもの、生命保険金や死亡退職金などのことを言います。
2. 課税遺産総額の算出
各人の課税価格-(5,000万円+法定相続人数×1,000万円)=課税遺産総額
3. 各人の法定相続分に応じる取得金額の算出
課税遺産総額×法定相続割合=各人の法定相続分に応じる取得所得金額
4. 各相続人ごとの仮の相続税額の算出
各人の法定相続分に応じる取得金額×税率=各相続人ごとの仮の相続税額
※ これを合算して、相続税の総額を出します。
5. 各人の相続税額の算出
相続税の総額×各人の実際相続した額の案分率=各人の相続税額
6. 各人の実際の相続税額の算出
各人の相続税額-各種控除=各人の実際の相続税額
※ 相続人に配偶者が含まれる場合は、ここで配偶者控除ができます。
※ 相続税の配偶者控除額は1億6,000万円です。ただし、配偶者の法定相続分が1億6,000万円を超える場合は、法定相続分が非課税となり、どちらか高いほうを選択することができます。
相続税計算の具体例
遺産が、A宅地(評価1億円)、B土地(評価2,500万円)、預金等5,000万円、葬儀費用500万円で、妻、子2人が相続人のとき
1. 各人の課税価格
2,000万円(5,000万円×0.2:特例利用)+2,500万円+5,000万円-500万円=9,000万円
2. 課税遺産総額
9,000万円-(5,000万円+3人×1,000万円)=1,000万円
3. 各人の法定相続分に応じる取得金額
妻:1,000万円×1/2=500万円 /子(2人):それぞれ1,000万円×1/4=250万円
4. 各相続人ごとの仮の相続税額
妻:500万円×0.1(税率)=50万円 /子(2人):250万円×0.1(税率)=25万円
→相続税の総額100万円
5. 妻が全部を相続するとき
妻:100万円×1=100万円 /子(2人):100万円×0=0円
6. 各人の実際の相続税額
妻:100万円-全額配偶者控除=0円
法相続税の計算手順
相続税の申告・納付について
相続税の申告、納付期限は、相続開始後10ヶ月以内です。この間に、遺産分割協議が整っていなくても、申告納付の義務は免れません。遅滞すると、無申告税、延滞税がかかります。あとで、修正申告税、更正の請求ができますから、とりあえず申告しておく必要があります。 相続財産が不動産のみであるときは物納もできます。
贈与税とは
個人から年間110万円(基礎控除額)を超える財産をもらった場合に課される税金のことです。日本で一番高い税金です。
相続で財産をもらった人と、生前の贈与により財産をもらった人の公平を保つために、贈与には贈与税の申告、納付が必要です。
贈与税は以下の計算式と税率表より算出できます。
(課税価格-基礎控除額110万円)×税率-控除額=税額
法定相続分に応じる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | - |
200万円超 300万円以下 |
15% | 10万円 |
300万円超 400万円以下 |
20% | 25万円 |
400万円超 600万円以下 |
30% | 65万円 |
600万円超 1,000万円以下 |
40% | 125万円 |
1,000万円超 | 50% | 225万円 |
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度とは、贈与時に贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産と相続財産の価額とを合計した金額を基に相続税を計算し、既に納めた贈与税額を引いて納税する制度です。
ただし適用対象者は決まっており、贈与者は65歳以上の親、贈与を受ける人は贈与者の推定相続人である20歳以上の子(子が亡くなっているときには20歳以上の孫)が対象となります。
2,500万円までの特別控除があり、2,500万円を超えた分に対しては、一律20%の税率が課税されます。