小堀球美子の相続コラム
相続法改正~恋しさとせつなさと心強さを~結局心強さのあまりなかった今回の改正
【総括】
私の実体験をコラムにまとめてみましたが、ほかにも、実効性があるのだろうかという改正が散見されます。
配偶者居住権は、たとえば、先妻の子と後妻の争いなどに、配偶者が居住権も得て、預金等の取得も望めるという点に改正の基礎があるのだと思うのですが、そんなに住まいに固執する人がいるだろうかというのが率直な感想です。まとまったお金が必要なら、何も自宅に住めなくなっても、その分代償金をもらう方が手っ取り早いと思うのです。そこが終の棲家であることも、施設に入居する等で絶対ではないように思います。遺言を書く人が年なら、配偶者も年のはずで、老い先短い妻がそれほどに住まいに固執するかと。
また、自筆証書遺言保管制度も、自筆の遺言を臨む人は、とりあえず、簡便な方法で遺言を書いておくという動機で書くのだと思うのです。それを、長男長女に託しておけば(弁護士でもいいです)よく、あえて、公正証書は面倒だけど、保管制度は面倒でない人はあまりいないと思われます。
自筆証書の様式緩和も、自筆で書ける遺言は簡素なもので、相続させるとする個別の不動産の地番等まで登記簿謄本と同じように書く人はあまりいないかな。
専門家の先生方が知恵を絞って今回の改正を成立させたのですから、きっと実効性もあるだろうと私も謙虚に受け止め、今後の実務で経験することが出来ればよいかと思います。
新シリーズ今回で終わりです。ありがとうございました。
2021-07-05|タグ: