小堀球美子の相続コラム
相続コラム~となりの遺産分割手続き編「6遺産分割と特別寄与」
亡くなった父が生前、自宅を新たに建てるため、子どもが金銭的な援助をしたというようなケースで、そのおかげで父の自宅も立派に建ったという場合、その子どもは、父の遺産分割で寄与分の主張ができます。
子どもが自宅新築費を一部負担してくれたので、父の財産がそれだけ減らなかったので、父の遺産形成に助力したと言えるからです。
その計算は、父が亡くなったとき、預貯金が2000万円、自宅が2000万円、子どもの自宅新築に対する寄与が1000万円だったとしましょう。
父に援助した子どもは、先にその寄与分を返してもらえます。
(2000万円+2000万円-1000万円)÷2(兄弟2人だと想定します)=1500万円が兄弟のそれぞれの取り分で、自宅を援助した子どもはそれに1000万円を足した2500万円を得ることができます。
この寄与分を主張できるのは、法定相続人だけです。
寄与分の中には、上記のようにお金を出してあげたケースだけでなく、父の老後の面倒を看たという寄与も考慮されます。父の介護をしてあげたので、父は金銭を出してヘルパーを頼まないで済んだというようなケースも、その寄与分の計算をして主張が出来ます。
父にこのような寄与をした人物は、法定相続人だけに限りません。長男の嫁が手助けしたという場合もあるのです。
そこで、平成30年3月の相続法改正で、民法の定める親族による特別寄与についても、その親族は法定相続人に寄与分の請求ができるという制度が新設されました。
長男の嫁も、夫を含む兄弟に対して、遺産の一部を分けるよう求めることができるのです。
その場合、応じてもらえなければ、長男の嫁は、家裁に兄弟を相手方として調停を求めることもできます。
すでに兄弟間で同じ家裁で遺産分割調停が行われているような場合でも、長男の嫁はそれに参加するという形でなく、遺産分割調停とは独立した手続きで請求ができる仕組みになっています。
実際、このような両事件が同時になされたとき、同じ期日が設けられるなど、工夫されるところだと思います。
2020-06-16|タグ: