小堀球美子の相続コラム
相続コラム~となりの遺産分割特別受益編「10特別受益と証明」
特別受益があるかどうかを、地裁では判断できません。特別受益は具体的相続分や遺留分を算出する前提として問題となるので、それだけ取り出して、いくらになるか判断しても、抜本的解決にならないからです。
遺留分の場合は、特別受益性は地裁でも判決理由中の判断で、裁判所の見解が聞けますが、より具体的に特別受益の額の確認を求めても不適法なのです。
特別受益は、遺産分割調停審判も、遺留分侵害額請求調停も家裁で行われるので、何となく、家裁では立証が楽なのかなという印象を持たれる方もいます。
しかし、とりわけ調停はやはり相手のあることなので、相手の納得できる証拠を示さないとなかなか相手に同意してもらえません。
その点、立証の程度としては、地裁で行うのと同レベルです。
ただ、家裁では、自分に不利益な事実を先に告白したとき、地裁で先行自白としてその撤回が許されないような、厳格な立証責任はありません。立証の態度としてはより自由であるのが家裁の特徴だと思います。
2020-06-30|タグ: