小堀球美子の相続コラム
特別受益の確認を訴訟で求めること
兄弟2人が相続人で、弟は、兄が父から住宅資金を贈与されていたことを主張したとします。
これを、遺産分割協議(調停)の中で、兄が受けた利益を相続財産に足して、みなし相続財産とし、みなし相続財産を法定相続分1/2で割った額から、特別受益を控除して、兄の具体的相続分を定める手続きが、民法の特別受益の規定の想定しているところです。
問題は、兄は、特別受益を得ていることを否認していて、弟は証拠により認定できると期待しているとき、弟は、地裁に兄が特別受益を受けていることの確認を求めていくことができるかです。
特別受益が訴訟事項か審判事項か争いのあるところですが、最高裁は否定しています。ある財産が特別受益であると確定しても、その価額、相続財産の全範囲及びその価額が定まらなければ、具体的相続分は決まらないから(すると根本的解決にならないから)特別受益の確認は訴えの利益を欠くとしています。
一方、たとえば、兄が父の預金を勝手に出していたというときには、遺産分割協議(調停)で、兄はその分持ち戻すべきと主張されますが、これは特別受益に準じて考えようとするもので、父から兄への不当利得返還請求権が立つなら、それ自体は、地裁での裁判が可能です。
2010-07-01|タグ: