小堀球美子の相続コラム
遺言がなくて怖かった話し?
長年夫婦同然の生活をしていて、ただ入籍していない夫婦のことを、内縁の夫、内縁の妻といいます。
内縁では、法律上の配偶者と言えず、法定相続人にはなりません。
この人に法定相続人がないときには、相続人不存在の手続きで、家裁に相続財産管理人を定めてもらい、特別縁故者として名乗りを上げれば、相続財産の分与も可能です。
しかし、この人に生前行き来のない法定相続人などいれば、その関係の濃淡を問わず、法定相続人に遺産がいってしまいます。
このとき、遺言を書いて、内縁の妻に遺産を遺すと書いておけば、遺産は内縁の妻が相続できます。
この手当をしないで、遠くの兄弟姉妹などいれば、内縁の妻としては何も主張できません。
この点、借家に内縁の夫婦が住んでいて、内縁の夫が借りていたとき、夫に法定相続人がなく死亡したときにも、内縁の妻は借家権を援用できるという規定が借地借家法に新設されましたが、あくまで法定相続人がないときなので、やはり不都合は否めません。判例は、いろいろな構成で内縁の妻を救済しようとしていますが、根本的には立法的な手当が必要です。
2010-09-24|タグ: