小堀球美子の相続コラム
遺言がなくて怖かった話し?
不貞行為を働いた配偶者は、有責配偶者であり離婚原因を作った者になりますが、離婚するには、協議又は審判が必要です。
妻が、他に男性を作り、不貞行為を繰り返したあげく、夫の財産である預金を勝手に引き出し、使っていた場合など、離婚原因はあるものの、実際は離婚がまとまっておらず、その間に夫が死亡したとき、こんな妻も配偶者として相続権があります。
このような推定相続人に対する制裁として、被相続人の意思により、相続権を失わせる推定相続人の廃除の制度があります。
これをなすには、被相続人は、生前に家庭裁判所に排除の審判を申立てるか、遺言で排除を定め、相続が開始したら、遺言執行者が家庭裁判所に排除を請求するかしないといけません。
上記のような不貞の妻を排除すると遺言で書いておかないと、妻にも相続権があることになります。
遺言で、妻以外の者に、全財産を相続させるとしても、妻には遺留分があるので、これも奪っておくには、推定相続人の廃除の申立をしておかないといけません。
注意を要するのは、不貞の妻にも離婚の際財産分与権がありますので、廃除が認められるには、婚姻中の協力による配偶者の寄与的後見を無視できるほど、廃除請求者が精神的財産的損害を被っている必要があります。
2010-10-04|タグ: