小堀球美子の相続コラム
相続ブログ?「遺産分割調停の精算条項」
遺産分割調停では、最後に精算条項といって、「(この調停により)遺産に関する一切の紛争を解決したものとし、ほかに債権債務のないことを相互に確認する。」という文言をいれます。
一方、調停条項では、最初に「遺産の範囲」を遺産目録を付けて特定し、精算条項では、その遺産に関する一切の紛争を解決したものとしますから、「遺産」でない、一定の相続人の不当利得であるとかその者への損害賠償請求などは、精算されないことになります。
ただ、実際の紛争では、精算条項をいれたとき、一切合切の紛争が解決されたものと主張する相手方がいることがあります。
こうなると、精算条項の実質的意味を認定しなければならず、やはり同じ当事者間で紛争の蒸し返しといった側面も出てきます。
調停実務では、ある相続人が別途ほかの相続人に不当利得や損害賠償請求をしていきたいと明言しても、裁判官は上記の文言を入れるのみなので、紛争が先送りになることが実際のようです。
2011-06-17|タグ: