小堀球美子の相続コラム
相続開始前に姉が父の預金を使い込んでおり、返還請求しましたが、このたび遺言があることが判明しました。
父の生前、その預金を姉が使い込んでいた時、それが父の意思に反するなら、父が姉に対し、返還請求権を持っており、それをあなたが相続したとして、行使が可能です。
しかし、遺言が見つかったということ。
遺言の内容が、「姉にすべての遺産を相続させる。」であったときには、父の返還請求権自体も姉に相続され、あなたは権利行使が不能なことになります。
このとき、あなたの利益は遺留分減殺請求として図られます。
残った遺産が1000万円で、使い込んだ預金が1000万円のとき。
遺産合計2000万円を遺留分減殺する。すると、あなたは500万円を回復できる。
これは、返還請求権自体を減殺請求するという構成でもいいし、特別受益(つまり使い込みを贈与と見る)も遺留分減殺の計算の基礎になるので、加えて、減殺請求するという構成でもいいです。
遺言がなければ、残った遺産の半分と、返還請求の半分を請求できたのに、遺留分となるとさらにその半分になってしまいます。
2014-06-18|タグ: