小堀球美子の相続コラム
相続コラム‘ほっとブレイク’地裁と家裁の狭間で
遺産分割にまつわる紛争は、家裁で解決するべきと考えられますが、案外、家裁で答えを導けず、地裁へ行ってください、ということがままあります。
法定相続人の地位の確認
遺産の範囲の確認
遺産の使い込みの返還請求
立て替えた葬儀費用の返還請求
こういった事例はよくあるので、判断に迷うことはないのですが、遺産分割の合意を被相続人の生前にしていたとき、亡くなってから遺産分割は必要か?それとも、もはや遺産分割は不要で、地裁で移転登記手続訴訟をするべきか。必要なら、家裁の判断事項と言えます。
遺産が不動産なら、登記をしなければならず、その場合の登記原因は「相続」です。法務局に登記申請するときに、登記原因を特定しないとならず、たとえば、遺産分割の合意とか、和解とか、そういうのは原因にはならないそうです(知り合いの司法書士に聞きました。)。
「相続」であるためには、遺言によるか、遺産分割によるかしかなく、やはり、遺産分割の事前の合意があっても、遺言がない以上、合意に沿った遺産分割が必要なのです。
そうすると、事前の遺産分割の合意があっても、現実に登記を求めるなら、地裁で移転登記手続訴訟をするのでなく、家裁で遺産分割審判を求めることになります。
2014-12-17|タグ: