小堀球美子の相続コラム

使い込み返還訴訟 は 横領行為 の一つ一つを 証明 できないと勝てないですか?

 民事裁判には、立証責任というルールがあって、その責任を負う者がそれを証明できないときには、請求が認められないという原則があります。
 
 
 遺産である預金を、相続開始前後引き出している者がいて、その者への返還請求を考えるとき、その者が預金を引き出していて、それを被相続人の必要経費に使っていないとか、被相続人に渡していないとか、被相続人から贈与を受けていないとか、そういう事情は、原告である請求する者が証明しないと勝てません。
 しかし、引き題している者が、どのようにそれを扱ったなどということを一つ一つ証明することは至難の業です。
 実務では、引き出し行為が毎日のように限度額を引き出していて被相続人の当時の状況からは被相続人自身の行為ではない、被告の言い訳する必要経費には合理性がない、被相続人がその者に贈与する状況にないなどの状況証拠があれば、必ずしも勝てない訴訟ではありません。
 被告としては、黙りを決め込んでも、裁判所からある程度の反論をすることを求められますので、被告のいいわけを弾劾する証拠を集めて再反論が可能なら、立証もそれほどハードルが高いとは言えません。

2015-01-13|タグ:

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