小堀球美子の相続コラム
使い込み事案・証明は下ろし方いかんで
預金の使い込みをされて、兄が何らの理由もなく預金を使い込んだということを証明するのは難しいのではないですか、と聞かれることがあります。
しかし、預金の引き出し方自体から戦略を定めることもできます。
たとえば、亡くなる直前にATMの限度額である50万円を毎日下ろしたといった履歴は、それ自体、被相続人である父が下ろし使ったことは想定できないし、父の入院費用などに使ったとしても全体で高額すぎるし、贈与契約を結ぶこともありえないし、ということが父の当時の能力から証明できれば、兄が着服したことが認定されやすいです。
毎月数十万円を定期的に引き出していて、兄のそれは父の経費に使ったという言い訳もさもありなんと思われないように、余剰の金額を算出して兄の使い込みを証明します。
単発で100万円というような切りのいい数字が引き出されていた時には、何に使うという裏付けのない数字なのでむしろ贈与なのではと裁判官に思われないように、兄と父の当時の関係性から贈与はあり得ないということを証明するべきでしょう。
2015-03-20|タグ: