小堀球美子の相続コラム
遺留分減殺請求訴訟について(2)
遺留分のある人は、兄弟姉妹以外の法定相続人です。たとえば、故人の法定相続人が兄弟姉妹のときには、法定相続人である兄弟姉妹は遺留分がありません。よく誤解されるのは、故人に妻と子2人の法定相続人があって、一人の子に全遺産を相続させるという遺言を遺したとき、その子からみて、ほかの子は兄弟姉妹ですが、故人から見ると子ですから、ほかの子にも遺留分はあります。
遺留分算定の基礎となるのは、贈与と特別受益の合計から債務を差し引いた額です。
最初にどの範囲の贈与が入るかは問題ですが、法定相続人への贈与に関しては、1年以上前の贈与も通常特別受益となりますから、期間の制限はないことになります。
どの範囲の贈与(特別受益)が入るか決まると、今度は、その額の評価です。これがやっかいで、不動産や、取引相場のない株式などは、評価が分かれます。評価の時期(相続開始時か)についても判断が分かれるところです。
評価は、厳密には、不動産鑑定士や公認会計士にゆだねられますが、先日経験した事案では、地裁の調停部の調停に付して、不動産鑑定士と公認会計士を調停委員としてお金のかからない方法で評価するということがありました。
このように、遺留分減殺請求訴訟は、基本的に計算です。比較的ビジネスライクに行うことが出来ます。
2009-12-11|タグ: