小堀球美子のひとりごと
弁護士業について
今日の新聞に、昨日から新司法試験が始まったという記事が載っていました。政府は、当初ロースクールで勉強した優秀な人材を7?8割の割合で合格させ、年間3000人の合格者を輩出すると期待していました。
ところが、ロースクールの乱立で、ロースクール生が多く誕生し、その結果、学生の質が下がって、合格率も27パーセント程度にとどまっているそうです。
今後は、ロースクールの再編統合が進み、優秀な学生が入学する、優秀な教員も集まり、教育の質も高まるとの期待を持つ、という法務省幹部のコメントを掲載しています。
いずれにしても、弁護士人口はこれから急速に増えることが予想されます。先の日弁連会長選で、合格者増を今一度検討するとした先生が当選しましたが、増員傾向は間違いないのだと思います。
弁護士の数が増えれば、弁護士同士の競争も激しくなると思われます。現に、最近では、仕事が減ったと実感を持つ、弁護士が多くなっているそうです。
私は、ちょうど、司法試験合格者が例年400人程度であったのに、司法改革の先鋒として合格者を増やす傾向に転じた頃、平成7年合格です。その年の合格者は750人くらいでした。そのころから、弁護士業界では、既存の弁護士が危機感を持っているという話を聞いていました。
近い将来増員が見込まれるという予想を元に、弁護士業は、先生業からの転換を求められてきたと思います。それまでは、多くの顧問先を持って、特に営業しなくても向こうから相談依頼がきたという、本当に殿様商売でした。
長い間、資格の上にあぐらをかいてきた弁護士が、真のサービス業に転ずるのは、40歳を過ぎて生き方を変える人の人生のような切なさと厳しさがありました。
それを世間は同情しません。弁護士であるだけで何の努力もなく食えていることの方が、普通に考えると奇異でしょう。
私は、弁護士人口増員の過渡期に生きてきた弁護士として、このことを肝に銘じ、弁護士業のサービスのあり方を模索していきたいと思います。
2010-05-13|タグ: