小堀球美子のひとりごと

山歩きに魅せられたのが、初めて登攀を試みてあえなく失敗した谷川岳の勇姿だっただけに、高尾山や御嶽山なんて、チョロいだろうと思っていました。
体育の日の連休、御嶽神社の参道をはずれて、ロックガーデンを目指しました。
ロックガーデンと呼ばれるのは、苔むす岩に囲まれた御嶽沢に作られた遊歩道です。そこまで下りるのに、長い下り坂を歩かなければなりません。直線距離はさほどでないものの、その下りていく行程の急峻さに膝ががくがくと笑い出しました。
なぜ山に登るのですか、ある人に聞かれて、一呼吸置いて「苦しい思いをしたいから。」と答えたことがありますが、ああ、楽な道を行けば良かったといつものことながら考えました。
谷を抜け、なだらかな山道にいたって、それまでの行程の意味を考えたとき、この山道への通過点に過ぎず、苦しいかったけれどそれ自体の価値はうすかったのではないかと思いました。
険しかった過去に気持ちを置いてきてはいけない、と。
ロックガーデン