小堀球美子のひとりごと

スコッチハウスアップルについて

司法修習の配属地が前橋地裁で、前橋に住んだことがあります。

私の住む表町から裁判所に行く通りに「スコッチハウスアップル」の看板がありました。

7月に配属されて、気になっていたものの、一年間は素通りしていまいた。

翌年の夏に思い切ってのれんをくぐりました。長い木製のバーカウンターにテーブル席が2つ、古き良き大人のバーでした。

よく前橋に来ていた高校時代の友達も、両親も連れて行ったことはありませんでした。そこは、私が自分の力で開拓したただ一つのくつろぎの場でした。

前橋の修習が終わるとき、私が決まって行っていた木曜日のバーテンダーさんが、お別れ会を開いてくれました。ほかの修習生は誰もいません、私だけ誘われました。

しばらく、遠ざかっていましたが、大学の後輩が前橋に修習地がきまったと聞いて、紹介してあげました。そうしたら、建物の老朽化で立ち退きが決まったとのこと。

取るモノとりあえず、週末に前橋に行ってきました。

そこは、20年の年月の経過をまるで思わせないたたずまいでした。

数ヶ月して、マスターから、新店舗開店の知らせをラインでもらいました。

人のつきあいってとても不思議。そのマスターは先代のマスターから引き継いで店を経営していて、先代のマスターには面識がありましたが、新しいマスターは修習を卒業して始めましての人でした。先代のマスターは亡くなったそうです。

よく、大正時代の人々の行き来の写真を見て、この中で今生きている人は誰もいなくて、人は死んでしまって、忘れられてしまうと無情を感じていましたが、人はこうして代々思い出を紡いでいくものなのですね。

なんだか、とても心地いい。長生きして良かった。

2019-06-17|タグ:

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