小堀球美子のひとりごと
絵本について
私が小学校生のころ、「おかしな金曜日」という絵本がありました。
「ぐりとぐら」や「ちび黒サンボ」のようには、よく読まれた絵本の中でも、児童文学とは一種離れた作品とでもいうのでしょうか。メジャーな絵本以外で私が覚えている作品です。
小学生の2人兄弟の父が家出をし、次に母も子ども達を残して忽然といなくなります。小学校高学年であった兄は、小さな弟と周りの大人に両親の蒸発を知らせないでけなげに2人で生活をします。兄のクラスメイト2人にだけ、本当のことを話します。しかし、学校の先生や近所のおばさんおじさんには、兄は問われても本当のことを言いません。
物語の中で、母を思ってぐずる弟を兄がめちゃくちゃに殴って口を封ずる場面があって、当時小学生だった私も読み続けるのがしんどい展開でした。
そのうち、兄弟は兄のクラスメイト2人と相談して、児童相談所を訪ねる決心をします。
最後は、クラスメイト2人が兄弟を見送ります。
何の世の中のことを知らない私にとって、衝撃的な作品でした。
親が居なくなるってどういこと?
児童相談所って何?
なぜ、学校の先生に言わない?
人は生まれながらにして、区別があって、愛情を受けて育てられることのない子どもも一定数います。それは1980年代でも、現代でも同じでしょう。
昔、ヨーロッパで新生児数人に食事を与え、排泄を処理するなど最低限の世話で育つか実験したことがあるそうです。結果は、赤ちゃん全員が死亡したそうです。
生まれながらにして、区別が生じる子ども達に寄り添った活動をする弁護士もいます。
その仕事の高邁さには、恐れ入る限りです。
2023-08-30|タグ: